景気動向の先行指標になる?
ここで説明していく雇用統計とは、アメリカの雇用統計のこと。毎月、月初めの金曜日。アメリカ時間で午前8時30分に発表されます。
名前の通り、雇用情勢に関する重要な指標で、世界中の投資家から注目されている指標の一つとなっています。
失業率や、非農業部門雇用者数といったものはもちろん、平均労働時間や平均時給といったものまで、実に多くの雇用データを知ることができるのです。
では、数ある経済指標の中で雇用統計が特に注目されている理由はなんなのでしょうか?
その理由の一つとして挙げられるのが、景気動向の先行指標として見られている点にあります。
雇用統計を確認して、失業者数が増えていれば景気は悪化していると感じる人は多いでしょう。失業者が増えれば、当然ですが給料がないので消費が減っていくからです。
また、労働時間や残業時間を確認した時、残業時間が増加しているようだと、景気回復の可能性が見えてきます。
残業時間が増えているということは、人手が足りないということ。それと同時に、企業側が支払うコスト(残業代による人件費)が高くなるということにつながります。
企業からすれば、従業員の残業時間を増やすよりも、新しい従業員を雇った方が支払うお金が少なくなるでしょうし、生産を追いつかせるためには、人手が必要になってくるでしょう。
つまり、新規雇用者の数が増える可能性が高まります。
そうなれば、景気回復の兆しも見えてくるので、市場には安心感が広がり、株価の上昇につながることが考えられます。
上記で紹介したように、雇用統計のデータは今後の景気動向を表しているとされているので、多くの投資家から注目されているのです。
雇用統計が為替に影響する理由とは?
景気動向の先行指標として、雇用統計が重要視されているため、株式市場に影響を与えるということは理解できた。しかし、なぜ為替相場にも影響するのか?
この点に疑問を感じている人もいるかもしれません。そこで、ここでは為替相場に影響を与える理由について紹介していきたいと思います。
アメリカ経済は、世界の中心と考えて問題ありません。仮に、アメリカ経済が悪化すればその影響は各国に及ぶからです。そのため、アメリカは景気動向に細心の注意を払っています。
景気悪化の兆候があれば、対策をとらなければいけません。対策が遅れれば、世界経済に与える影響は計り知れないからです。
考えられる対策は、いくつもあります。市場に資金供給するために、国債を発行する可能性もあるでしょう。
そうなれば、金利に影響が出てきます。そして、この点にこそ為替相場に影響を与える理由があるのです。
景気動向によって、金融政策を実行する可能性があるかもしれない。そう考えた投資家の取引によって、為替相場が大きく動くのです。
実際、雇用統計の発表時には、為替相場で信じられないようなダイナミックな値動きをすることがあります。
外国の雇用統計は関係ない?
雇用統計が重要な経済指標だと理解していただけたと思います。しかし、それでもアメリカの雇用統計が日本に関係していると実感できない人もいるかもしれません。
そんな人は、雇用統計が発表された瞬間の為替相場や、発表後の株式市場を確認してみることをおすすめします。
世界経済は、私たちが考えている以上に、つながっているのです。それは、アメリカ市場が大きく動いた時に、日経先物も同じように動くことからも分かるはずです。
株式市場は、未来の実体経済を表しているといわれています。つまり、雇用統計が発表されて大きく株価が下がったという場合には、今後、実体経済が痛んでくるという可能性が高くなるのです。
そうなることが予想されるのであれば、対策を考えておく必要があります。できることは少ないかもしれません。しかし、それでも備えられることはあるはずです。
そして、そのためには雇用統計の確認は欠かせません。社会人である以上、最低限雇用統計の数字は確認しておくようにしましょう。
まとめ
投資をしていないから、経済指標なんて関係ない。もし、そのような考えでいるのであれば、注意が必要かもしれません。
なぜなら、経済指標によってマーケットは大きく動くからです。マーケットが動くということは、投資家の多くが経済動向の変化を察知したということ。
世界中の経済はつながっているので、自分の勤めている会社も関係ないわけではありません。
経済指標とマーケットの動きをある程度確認しておくことは、今後の自分の仕事や生活にも大きく影響してきます。
なにも知らなければ対策をたてることすらできません。そうならないためにも、まずは雇用統計を確認してみるようにしてみましょう。
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